機能改善のトレーニングなどになると、
「動きの悪いところをもっと動くように」とか、
「神経の促通していないところに電気を流して促通させていく」
といった「細かい」「繊細な」コントロールが求められます。
数センチ・数度のコントロール
筋肉は基本的に骨に付着しています。(じゃないとこもありますが)
ですので身体の動きは「骨運動」とも言えます。
筋肉が付着する位置が、筋肉が走行する(走行させたい)方向に向いている方が(もしくはしっかりと固定されている方が)
その筋肉をしっかりと縮めることに繋がり、しっかりと力を発揮することに繋がります。
その為に、機能させたい筋肉が付着する骨の向きや角度を
ほんの数センチ、数度を意識してもらいながら動かす必要があります。
セットアップが大切
そんな「数センチ・数度」を意識するためには、
まず動きが始まる前の段階でのコントロールが必要です。
すでに力が入っている段階で「数センチ・数度」の調整をするのはなかなか難しい動作になります。
人間の動きは一つの筋肉だけで活動することはありません。
特にわかり易い「複合関節動作」などは ※例えばスクワット動作など
「どの関節が一番先に動きだすか?」
「どの筋肉が一番先に動きだすか?」
が大切です。
人間の身体には『順番順序の法則』というのがあります。
※運動生理学的には存在しない法則ですが、ある素晴らしいトレーナーさんがおっしゃっていた法則
一番先に動きだした筋肉(意識が入った筋肉)がその動きの主導権を握ります。
そうです”誰が主導権を握るか?”がとても重要になります。
やってみて下さい
では実際にトレーニング動作でご説明します。
今回は「懸垂」(チンニング)で。
懸垂は背中の筋肉(広背筋など)をメインに鍛えていくトレーニングになります。
※あえて腕をメインに鍛える場合もありますが。
ですので、主導権は「背中の筋群」が握りたいです。
ただ動作的には「肘を曲げる動き」「腕を閉じる動き」が入ります。
次の2つの写真を比べて下さい。
どちらが「肘を曲げる動き」がメインで、どちらが「腕を閉じる動き」がメインでしょうか?
正しいのは「腕を閉じる動き」が主導権を握る動きです。
腕を下に引く動きになりますので、肩甲骨を下に引きよせ固定した状態にセットアップ時にする必要があります。
どこの筋肉をどうコントロールしたいのか?
今自分のやっているトレーニングが
「どこの筋肉を使って、どのような方向に動かしていきたいのか?」
ここを明確にして、その筋肉が付着している骨がどの方向を向くといいのかがわかれば(イメージできれば)トレーニングはうまくいきます!
数センチ・数度のコントロールがトレーニングや動きの正確さの明暗を分けます。
2つの写真の違いのように……(ちなみに良いのは2枚目の写真:右or下)